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ここでは『日本歯科評論』 2000年6月号別冊で紹介された
『睡眠時無呼吸症における矯正歯科の役割』を掲載します。

※本論文は、1999年9月26・27日開催されたBioprogressive Study Club(BSC,会長・今井 香樹氏)第17代学術大会(名古屋ATビル)でのシンポジウム「睡眠時無呼吸症候群」の講演をもとに書き下ろしたものです。

はじめに
  睡眠時無呼吸症とは睡眠中に息が止まってしまう恐ろしい病気で、1976年に定義づけされた比較的新しい病気と言うことができる。睡眠中に息が止まるとどのような不具合が生じるのであろうか。大きな障害は2つある。1つは酸素不足であり、他の1つは睡眠不足である。人間の生存にとって最も重要なのは酸素であることは、息を10分止めてしまえば死ぬことからも解ることである。

  末梢血酸素飽和度(SaO2)を指に挟んで簡単に計測できる器具があるが、覚醒時に計測すると95%以上の人が精一杯息を止めても90%以下にはなかなか下がらないが、睡眠時には簡単に80%台になったり悪くすると60%台に落ちてしまう患者さんもいる。寝るたびにほとんど死の一歩手前までいってしまっているわけである。

  また、睡眠不足により交通事故を起こす危険率は7倍となることが報告されている。さらに、睡眠不足が関わった大きな事故として

  1. スペース シャトル『チャレンジャー号』の大惨事 
  2. スリーマイル島の原発事故 
  3. エクソン石油ヴァルデス号の座礁事故 などが挙げられている。

  睡眠時無呼吸症の原因は解明されているわけではないが、そのなかでも顎顔面形態異常と肥満が大きく影響していると言われている。 睡眠時無呼吸症における矯正歯科の役割として

  1 顎顔面形態の診断
  2 口腔内装置による治療
  3 顎矯正治療による予防 が考えられる。

  もし、顎顔面形態異常が睡眠時無呼吸症の原因の1つであるならば、『顎顔面形態異常を予防する。』これこそが矯正歯科の最も大きな役割である。そのなかでも特に下顎骨を十分に成長させることによって気道の開放を図ることができる。『顎顔面形態異常を予防する。』ことによって睡眠時無呼吸症の予防ができる可能性がある。

  私達は矯正歯科医として患者さんの審美性のみならず顎顔面形態に関して責任を負わなければならないのではなかろうか。

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